決算概要
会計上は前年同期比で減収減益
まず、開示された会計上の業績を確認する。
2026年12月期第2四半期累計の売上高は789百万円となり、前年同期の940百万円から16.1%減少した。それに伴い各段階利益も減少しており、会計上は減収減益となった。
項目 | 2025/12期2Q 累計 | 2026/12期2Q 累計 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
売上高 | 940百万円 | 789百万円 | -16.1% |
営業利益 | 207百万円 | 67百万円 | -67.4% |
経常利益 | 196百万円 | 48百万円 | -75.2% |
当期純利益 | 99百万円 | 30百万円 | -69.0% |
この数字だけを見れば、業績が前年同期から大きく落ち込んだように見える。しかし、今回の決算を読み解くうえでは、前年同期に含まれていた特殊要因を切り分けて考える必要がある。
なぜ「減収」になったのか
過年度繰越売上の減少が、会計上の売上高を406百万円押し下げ
前年同期と今期の売上高を比較するうえで重要となるのが、売上高計上基準の変更に伴う一過性の「過年度繰越売上」である。
過年度繰越売上は前年同期だけでなく今期にも計上されているが、計上額は前年同期から大幅に減少し、差額は406百万円となった。これが前年同期比で見た売上高の大きな減少要因となっている。
一方、ZETA CXシリーズの売上高は前年同期比で254百万円増加した。
したがって、「前年同期比16.1%減収」という会計上の数字は事実であるものの、その減収の主因は事業そのものの縮小ではなく、過年度繰越売上の計上額が前年同期から大きく減少したことにある。
実際の事業動向を評価するためには、この一過性要因を切り分けて見る必要がある。
2Q単体では、実態ベースで47.6%増収
第2四半期単体の売上高は473百万円となった。
前年同期の538百万円と比較すると、会計上は12.1%の減収である。
しかし、前年同期の538百万円には238百万円の過年度繰越売上が含まれていた。一方、今期第2四半期にも30百万円の過年度繰越売上が含まれている。
それぞれの繰越売上を除くと、以下のとおりとなる。
項目 | 2025/12期2Q | 2026/12期2Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
繰越売上を除いた売上高 | 300百万円 | 443百万円 | +47.6.% |
つまり、第2四半期単体では、会計上は12.1%の減収である一方、一過性要因を除いた実態ベースでは47.6%の増収となる。
会計上、前年同期比で減収となったことは事実だが、その背景には過年度繰越売上という大きな特殊要因がある。これを除いて見ると、足元の事業から生み出される売上は前年同期を大きく上回っている。
足元の事業は好調
四半期受注高は過去最高
今回の決算で特に注目したいのが、受注高である。
ZETAでは売上高計上基準の見直しにより、受注から実際の売上計上までに一定の期間を要する。そのため、足元の事業環境を見るうえでは、売上高だけでなく、その先行指標となる受注高も重要となる。
第2四半期の受注高は前年同期比11.9%増となり、四半期ベースで過去最高を記録した。

注1:2026年12月期第2四半期決算資料を参考にCapital Voice Japanが作成。決算期の変更に伴い、2024年6月期、2024年12月期、2025年12月期、2026年12月期の各第2四半期をハイライト表示。
売上⾼の先⾏指標となる受注⾼は過去最⾼となり今回の「減収」という会計上 の数字と、⾜元の事業実態が必ずしも⼀致していないことを⽰す材料の⼀つで ある。
もちろん、受注した案件が直ちに売上・利益として計上されるわけではなく、売上計上までには一定のタイムラグが存在する。
それでも、将来の売上につながる受注が過去最高水準まで積み上がっていることから、少なくとも足元の需要環境は好調に推移していると捉えることができる。
6月の単月新規売上高も前期12月に次ぐ水準
さらに本第2四半期の決算では、売上高推移の好調さも確認できた。
2026年6月の単月新規売上高は、前期の2025年12月に次ぐ水準となった。
同社は、四半期受注高と6月の単月新規売上高がいずれも高い水準となったことについて、これまで進めてきた構造改革の成果が顕在化していると説明している。
構造改革の成果については今後の推移を継続して確認する必要があるものの、受注という先行指標だけでなく、新規売上にも数字として表れている点は押さえておきたい。
成⻑が加速する「リテールメディア広告」
主⼒製品の「ZETA SEARCH」に加え、注⼒事業であるリテールメディア広告 エンジン「ZETA AD」も⾼い成⻑を⽰した。
リテールメディア広告事業の第 2 四半期単体売上⾼は前年同期⽐ 170.6%増と なった。
さらに、第2四半期累計の売上高は期初想定を上回り、すでに前期通期実績の80%超に達している。
同社は旺盛な需要を背景に、第3四半期以降もさらなる成長を見込んでいる。
今回の決算における新たな注目材料の一つである。
ZETA はこれまで EC サイト向けの CX 向上サービスをストック収益の基盤と してきたが、リテールメディア広告という新たな収益源にも、徐々に業績寄与 が表れ始めている。
案件数の増加が今後どの程度売上・利益へ転換されるかについては、引き続き確認する必要がある。
通期業績に対する進捗率
繰越売上の影響を除けば前年と概ね同⽔準
次に、通期業績予想に対する進捗を確認する。

2026年12月期の通期売上高予想は2,100百万円に対し、第2四半期累計の売上高は789百万円となり、進捗率は37.6%となった。
前年同期の進捗率は50.6%だったため、会計上の数字だけを比較すると、前年から大きく進捗が遅れているように見える。
しかし、この比較にも前年同期の過年度繰越売上が大きく影響している。
一過性の繰越売上の影響を除いた場合、売上高の進捗率は前年同期の37.0%に対し、今期は36.2%となる。

会計上の進捗率では、前年同期50.6%、今期37.6%と大きな差がある一方、繰越売上の影響を除いた実態ベースでは、前年同期37.0%、今期36.2%となり、その差は0.8ポイントにとどまる。
したがって、37.6%という会計上の進捗率だけを見て、「前年より大幅に遅れている」と評価することは実態を十分に反映していない。
実態ベースでは、前年と概ね同じペースで進捗していると見ることができる。
ZETAの業績は4Qに偏重する
進捗率を見るうえでもう一つ理解しておく必要があるのが、ZETAの業績計上時期である。
同社の売上高は、例年第4四半期に大きく偏重する傾向にある。
決算説明資料によれば、繰越売上を除いた前年の売上構成は以下のとおりである。
【前期】繰越売上を除いた構成比の推移
1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
|---|---|---|---|
13.8% | 23.2% | 21.0% | 42.0% |
【今期】繰越売上を除いた構成比の推移
1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
|---|---|---|---|
14.4% | 21.9% | - | - |
このように、同社の売上高は第4四半期に大きく計上される傾向にある。
会社側は、第2四半期時点では期初計画通りの進捗であると説明している。
そのため、「上期終了時点だから通期計画の50%程度まで進捗しているべき」と単純に判断することはできない。
今回の実態ベースの進捗率36.2%についても、こうした業績特性を踏まえて評価する必要がある。
利益の推移については慎重に確認したい
利益については今後の推移を慎重に確認する必要がある。
通期営業利益予想500百万円に対して、第2四半期累計の営業利益は67百万円となり、進捗率は13.5%となった。
ZETAは売上高だけでなく、利益も第4四半期への偏重が大きいため、第2四半期時点の進捗率のみで通期計画の達成可否を判断することは難しい。
一方で、通期500百万円の営業利益を達成するためには、下期に433百万円の営業利益を積み上げる必要がある。
第2四半期決算では、受注環境が好調であることは確認できた。
今後は、過去最高となった受注が売上として計上されるだけでなく、十分な利益を伴って業績に反映されるかが重要となる。
次の焦点は、その受注を第3四半期、第4四半期でどこまで売上・利益へ転換できるかである。
新たな中期経営計画の開示を予告
今回の決算では、業績だけでなく今後の経営計画についても新たな動きが示された。
ZETAは、市場区分の変更、新規事業の稼働、既存事業の加速などを背景に、新たな中期経営計画を開示する予定であることを明らかにした。
同社では現在、既存のZETA CXシリーズに加え、リテールメディア広告やAIコマースメディアなど、エージェンティックコマース領域への事業展開を進めている。
特にAIコマースメディアについては、ZETA CXシリーズを通じて蓄積してきた1,750万件超のUGCと246サイトの導入基盤を活用し、「国内最大」の口コミメディアを目指す方針を示している。
投資家の観点から重要なのは、新たな中期経営計画の中で、これらの事業がどのような業績目標に落とし込まれるかである。
足元では四半期受注高が過去最高となり、リテールメディア広告も高い成長を続けている。
こうした事業環境を踏まえ、会社が今後数年間の売上高・利益をどの程度の水準に設定するのか。また、新規事業についてどのようなKPIを設定するのか。
新たな中期経営計画は、今後のZETAを評価するうえで重要な材料となるだろう。
今後の注目ポイント
今回の決算を踏まえ、今後注目したいポイントは大きく3つある。
一つ目は、過去最高となった受注高が実際の売上高にどの程度転換されるかである。
受注から売上計上までにはタイムラグがあるため、第2四半期に積み上がった受注が今後どのように業績へ反映されるかを確認したい。
二つ目は利益である。
売上高については実態ベースで前年と概ね同程度の進捗となっているが、営業利益は通期計画500百万円に対して67百万円にとどまっている。
同社の業績特性から4Q偏重自体は想定されたものとはいえ、通期計画の達成には下期の利益計上が重要となる。
三つ目は、新たな中期経営計画である。
ZETA ADが伸長し、AIコマースメディアという新事業も立ち上がるなか、これらがどの程度の売上・利益成長につながると会社が見込んでいるのか。
具体的な数値計画が示されれば、ZETAの今後の成長を評価するための新たな基準となるだろう。
まとめ
ZETAの2026年12月期第2四半期決算は、会計上の数字と事業の実態を分けて見る必要がある決算となった。
会計上は、売上高が前年同期比16.1%減、営業利益が同67.4%減となり、減収減益となった一方、第2四半期単体で一過性の過年度繰越売上を双方から除いて比較すると、売上高は前年同期比47.6%増となる。
さらに、将来の売上の先行指標となる四半期受注高は過去最高を記録し、6月の単月新規売上高も前期12月に次ぐ水準となり、リテールメディア広告事業についても、第2四半期単体売上高が前年同期比170.6%増となっている。
これらを総合すると、「会計上は減収減益だが、実態として事業は好調に推移した」というのが今回の決算のポイントといえる。
一方で、その好調さが通期業績としてどこまで結実するかについては、今後の確認が必要である。
特に営業利益の通期進捗率は13.5%であり、同社の業績が例年4Qに偏重することを考慮しても、下期の利益計上は重要なポイントとなる。
過去最⾼となった受注が売上へ、そして利益へと転換されていくのか。
また、好調な既存事業と成⻑が加速するリテールメディア広告を背景に、今後 公表される中期経営計画でどのような成⻑⽬標が⽰されるのか。
第3四半期以降は、表面的な前年同期比だけでなく、受注から売上、売上から利益への転換がどのように進んでいくかを見ることが、ZETAの業績を評価するうえで重要となる。

はじめに
2026 年 8 ⽉ 10 ⽇、ZETA 株式会社(6031)は 2026 年 12 ⽉期第 2 四半期決算を開⽰した。
第 2 四半期累計の売上⾼は 789 百万円で前年同期⽐ 16.1%減、営業利益は 67 百万円で同67.4%減、経常利益は 48 百万円で同 75.2%減、当期純利益は 30 百万円で同 69.0%減となり、「会計上の数字」だけを⾒れば減収減益の結果となった。
また、通期売上⾼予想 2,100 百万円に対する進捗率は 37.6%となった。
しかし、今回の決算は、「会計上の数字」だけでは実態を捉えにくい内容でもある。
最大の理由は、売上高計上基準の変更に伴う一過性の「過年度繰越売上」の計上額が、前年同期と今期で大きく異なることにある。前年同期と今期の過年度繰越売上の差額は累計406百万円となり、この減少影響が会計上の売上高を大きく押し下げている。一方、ZETA CXシリーズの売上高は前年同期から254百万円増加しており、繰越売上の影響を切り分けると、会計上の減収とは異なる事業実態が見えてくる。
本記事では、こうした一過性要因を整理したうえで、ZETAの第2四半期決算の実態について解説する。