ネオジャパンは、どのような会社なのか
ネオジャパンは、単なるグループウェア会社ではありません。同社が提供しているのは、企業や自治体の中に散らばる情報と業務を一つの基盤に集め、組織全体で利用できる状態にする仕組みです。
主力製品は、次の3つです。
製品 | 主な役割 | 集約するもの |
|---|---|---|
desknet’s NEO | 全社共通の情報共有基盤 | スケジュール、ワークフロー、社内通知、規程、設備予約など |
AppSuite | 各社固有の業務をアプリ化 | 顧客管理、案件管理、点検記録、契約管理、日報など |
ChatLuck | 組織内のコミュニケーション | チャット、連絡、情報交換 |
desknet’s NEOは、会社全体で共通して利用する情報を集約します。AppSuiteは、それぞれの企業や部門に固有の業務をデジタル化し、ChatLuckは従業員同士のコミュニケーションを支えます。個別の製品を販売しているように見えますが、3つの製品はそれぞれ独立しているわけではありません。desknet’s NEOを全社共通の入口として導入し、AppSuiteで各社固有の業務へ利用範囲を広げ、ChatLuckで日々のコミュニケーションまで取り込んでいく。
ネオジャパンは、企業内の「情報」「業務」「会話」を一つの基盤へ集めながら、顧客企業の中で利用領域を段階的に広げる会社です。
誰に提供しているのか――公共・金融分野にも広がる顧客基盤
ネオジャパンの顧客は、中小企業から大企業まで幅広く、自治体や公的機関、金融機関にも及びます。
累計販売実績は540万ユーザーを超え、公共分野では自治体・公的機関1,250団体以上への導入実績を持っています。都道府県庁では3分の1以上、政令指定都市では約4割に導入されているほか、金融分野でも地方銀行の約2割、信用金庫の約4分の1で利用されています。
顧客分野 | 導入実績 |
|---|---|
累計販売ユーザー | 540万ユーザー超 |
自治体・公的機関 | 1,250団体以上 |
都道府県庁 | 約3分の1以上 |
政令指定都市 | 約4割 |
地方銀行 | 約2割 |
信用金庫 | 約4分の1 |
これらの顧客に共通するのは、単に便利なクラウドサービスを求めているわけではないという点です。
企業や自治体、金融機関では、組織階層、申請・承認、情報管理、アクセス権限などに独自の運用があります。例えば申請業務一つを取っても、担当者が申請し、上長が承認し、管理部門が確認するという流れがあります。金額や案件の種類によって決裁者が変わる場合もあり、部門や役職ごとに閲覧できる情報を制限しなければならないこともあります。
海外で開発された製品が機能面で優れていても、日本企業特有の組織運用や承認文化にそのまま適合するとは限りません。ネオジャパンは、日本企業や自治体の商習慣、組織構造、業務フローに合わせて製品を開発してきました。
幅広い民間企業に加え、運用要件やセキュリティ要件の厳しい公共・金融分野にも導入されている背景には、こうした日本市場への適合力があります。
何を提供しているのか――個別開発に頼らず業務を改善できる環境
ネオジャパンが提供する価値は、単にスケジュールや掲示板をデジタル化することではありません。
本質的な価値は、企業が多額の費用をかけて個別システムを開発しなくても、自社の業務に合ったデジタル環境を整えられることにあります。
desknet’s NEO――全社共通の情報を集約する

desknet’s NEOは、スケジュール、ワークフロー、掲示板、社内ポータル、安否確認、設備予約などを提供するグループウェアです。
例えば、それまでメールで配信していた社内通知をポータルに集約し、紙で回していた申請書をワークフローへ移行します。従業員の予定や会議室の予約も、一つのシステム上で確認できるようになります。
企業内に分散していた共通情報を一カ所へ集め、従業員が日常的に利用する業務の入口を整える。desknet’s NEOは、こうした全社共通の業務基盤として利用されています。
AppSuite――Excelや紙で管理していた業務をアプリ化する

一方、企業には、全社共通の機能だけでは対応できない固有の業務があります。営業案件管理、顧客管理、契約管理、設備点検、備品管理、問い合わせ管理、日報などが、その代表例です。
こうした業務は、現在もExcelや紙で管理されていることが少なくありません。Excelは手軽で柔軟性が高い反面、組織全体で利用すると、ファイルが複数に分かれて最新版が分からなくなったり、担当者以外が管理方法を理解できなくなったりします。閲覧権限や入力形式の統一、変更履歴の管理、検索や集計にも限界があります。
AppSuiteは、こうしたExcelや紙を中心とした業務を、プログラミングなしで社内アプリへ置き換えるための製品です。現場の担当者は、自社の業務に合わせて入力画面や一覧表を作成し、アクセス権限、検索、集計などの機能を組み込めます。
一般的な個別システム開発では、外部のシステム会社へ要件を伝え、設計、開発、テストを経てシステムを完成させます。業務内容が変われば追加開発が必要になり、そのたびに費用と時間が発生することもあります。
これに対してAppSuiteでは、現場の担当者が自らアプリを作成し、業務の変化に応じて修正できます。完成したソフトウェアを一度導入して終わるのではなく、企業自身が継続的に業務を見直し、デジタル化を進められる環境を提供している点に特徴があります。
これは、同社が掲げる「すべての企業にITのメリットを」という考え方にもつながっています。
どのように顧客へ届けているのか――直販とパートナー販売の組み合わせ
ネオジャパンのビジネスモデルを理解するうえでは、製品だけでなく、どのような販売経路で顧客へ届けているのかを見ることも重要です。
同社は、自社の営業部隊だけですべての顧客へ販売しているわけではありません。オンプレミス製品は販売パートナー経由が大半を占め、クラウド製品については、直販とパートナー販売がおおむね半分ずつとなっています。
提供形態 | 主な販売方法 |
|---|---|
オンプレミス | 販売パートナー経由が中心 |
クラウド | 直販とパートナーが半々 |
新規顧客の開拓 | Web、展示会、パートナー網など |
販売パートナーには、地域のIT事業者やシステムインテグレーターなどが含まれます。
企業や自治体がITシステムを導入する際には、グループウェアだけでなく、サーバー、ネットワーク、セキュリティ、運用支援などをまとめて発注することがあります。そのため、顧客との関係を既に持っている販売パートナーを通じて製品を提供することには、大きな意味があります。
パートナー側は、顧客の要望に合わせてネオジャパンの製品を提案できます。一方、ネオジャパンは全国に大規模な営業組織を抱えなくても、パートナーの顧客基盤を通じて製品を届けられます。
広告宣伝についても、Webや展示会が中心です。一般消費者向けの製品ほど知名度が高いわけではありませんが、製品の使いやすさや品質、コストパフォーマンスが導入企業から評価されています。2026年5月には「Best Software in Japan 2026」のTOP100で第10位に選出されました。
製品評価、導入実績、パートナー網を組み合わせることで、営業や広告宣伝のコストを過度に膨らませず、顧客を獲得する仕組みを築いています。
クラウドだけではない――オンプレミスにも需要が残る理由
近年、ソフトウェア市場ではクラウドサービスへの移行が進んでおり、ネオジャパンでもクラウドサービスは今後、一桁後半の成長が見込まれています。
一方、オンプレミス製品については、市場全体として緩やかな縮小傾向にあります。ただし、オンプレミス需要がすぐになくなるわけではありません。
特に自治体、金融機関、大企業などでは、セキュリティ方針や法令・規制への対応、外部ネットワークとの接続制限、既存システムとの連携、独自の運用要件などを理由に、自社内のサーバーでシステムを運用するオンプレミス型が選ばれる場合があります。
また、オンプレミス市場では競合企業の撤退も進んでいます。既存製品の提供やサポートが終了すれば、利用企業は別の製品へ移行しなければなりません。クラウドとオンプレミスの両方を提供するネオジャパンは、こうしたリプレイス需要の受け皿となることができます。
市場全体が縮小していても、提供企業が減少すれば、残った企業へ案件が集まる可能性があります。
市場環境 | ネオジャパンへの影響 |
|---|---|
クラウド市場の成長 | 利用料収入の拡大 |
オンプレミス市場の縮小 | 新規需要は減少傾向 |
競合製品の撤退 | リプレイス案件の獲得機会 |
公共・金融のオンプレ需要 | 継続的な導入・保守需要 |
オンプレミス製品では、初回のライセンス販売だけでなく、その後の保守、サポート、バージョンアップからも継続収益を得られます。
クラウド市場の成長を取り込みながら、オンプレミス市場では残存需要とリプレイス需要を獲得する。両方の提供形態を持つことが、ネオジャパンの顧客基盤と収益を支えています。
クラウド版 | オンプレミス版 |
|---|---|
すぐに使える | 自社環境で運用 |
月額課金 | ライセンス+保守費用 |
運用負担が軽い | セキュリティ要件に対応 |
中小企業・一般企業向け | 自治体・金融・大企業向け |
なぜ収益が積み上がるのか
ネオジャパンのソフトウエア事業では、クラウドサービスやサポートサービスなどのストック売上が、売上高の約8割を占めています。
主な継続収益は、クラウドサービスの利用料、オンプレミス製品の保守契約、サポートサービス、バージョンアップなどに伴う収益です。
受託開発型の企業では、システムを納品すると、その案件から得られる売上は基本的に終了します。翌年も売上を確保するには、新たな案件を獲得し続けなければなりません。
一方、ネオジャパンでは、顧客が製品の利用を続ける限り、利用料や保守料が継続します。毎年すべての売上をゼロから作り直す必要がなく、過去に獲得した顧客からの売上が次年度以降にも残ります。
さらに、desknet’s NEOを導入した顧客へAppSuiteやChatLuckを追加提供することで、一社当たりの売上を広げることができます。
新規顧客から売上を獲得し、継続利用によって維持し、追加製品によって拡大する。この3段階の収益構造が、同社の安定性と成長性を支えています。
なぜ解約されにくいのか――日常業務に組み込まれる製品
ストック型ビジネスでは、新規顧客を獲得するだけでは十分ではありません。顧客が短期間で解約すれば、売上は積み上がらないためです。
desknet’s NEOクラウドの月次解約率は、2026年1月期以降、0.5%未満という低い水準で推移しています。

その理由は、desknet’s NEOが従業員の日常業務に深く組み込まれる製品だからです。
導入後は、従業員のスケジュール、過去の社内通知、申請・承認の履歴、社内規程やマニュアル、設備予約、組織や役職ごとのアクセス権限などが製品上に蓄積されます。AppSuiteを利用している場合には、顧客固有の業務アプリとデータも加わります。
従業員は日々の操作に慣れ、製品を前提とした業務フローが作られていきます。別の製品へ移行する際には、データの移行、権限の再設定、従業員への教育、業務フローの再構築が必要となり、全社の業務基盤として定着するほど切り替えの負担は大きくなります。
ネオジャパンの製品は、長期間利用され、業務やデータが蓄積されるほど顧客にとって重要になります。この性質が、低い解約率と安定した継続収益につながっています。
AppSuiteは、なぜ重要なのか
ネオジャパンの成長を考えるうえで、特に重要な製品がAppSuiteです。
AppSuiteは、単に追加料金を得るためのクロスセル製品ではありません。desknet’s NEOを、全社共通の情報基盤から、各社固有の業務基盤へ広げる役割を持っています。
desknet’s NEOだけを利用している段階では、スケジュール、掲示板、ワークフローなど、全社共通の機能が中心です。そこにAppSuiteを追加すると、営業部門では顧客管理アプリ、管理部門では契約管理アプリ、製造部門では設備点検アプリを作成するといった使い方が可能になります。
AppSuite導入による効果 | ネオジャパンにとっての意味 |
|---|---|
利用部門が増える | 顧客内での利用範囲が広がる |
業務アプリが増える | 顧客固有の業務が製品に組み込まれる |
利用ユーザーが増える | 顧客単価の上昇につながる |
データが蓄積される | 他製品への移行が難しくなる |
業務改善が継続する | 長期利用につながりやすい |
ネオジャパンは、既に累計540万ユーザー超のdesknet’s NEO顧客基盤を持っています。取引関係があり、製品を利用している顧客へAppSuiteを提案できるため、ゼロから新規顧客を獲得する場合と比べて効率的です。
実際に、AppSuiteのクラウドユーザー数は直近で前年同期比30%以上のペースで増加しています。
desknet’s NEOで顧客基盤を築き、AppSuiteで利用部門と顧客単価を広げる。この構造が、ネオジャパンの成長モデルの中核です。
なぜ高い利益率を実現できるのか
ネオジャパンの業績を見ると、営業利益率の高さが目立ちます。直近数年の営業利益率は30%前後で推移しています。
この高い収益性は、ストック売上が多いことだけでは説明できません。継続収益が多くても、人員、営業、広告、開発、外部ライセンスなどのコストが大きければ、利益率は高くならないためです。
ネオジャパンの高収益性は、売上が積み上がりやすいことに加え、コストが膨らみにくい事業構造によって生まれています。
ネオジャパン単体の従業員数は、2026年1月末時点で163名です。その過半は、開発やサポートを担う人員で構成されており、自社の営業部隊は必要最小限に抑えています。
組織・コストの特徴 | 効果 |
|---|---|
主力製品を自社開発 | 外部ライセンス料や外注依存を抑えやすい |
開発・サポート人員が中心 | 製品品質と顧客対応へ人員を集中できる |
エンジニアを新卒中心に育成 | 採用コストを抑え、長期的に知見を蓄積できる |
販売パートナーを活用 | 大規模な自社営業組織を抱えずに販売できる |
Web・展示会中心の集客 | 広告宣伝費を過度に膨らませない |
一つの製品を多数顧客へ提供 | 売上増加に対して開発コストが比例しにくい |
ソフトウェアは、一度開発した製品を複数の顧客へ提供できます。利用企業が増えるたびに、同じ規模の製品を一から開発する必要はありません。
さらにネオジャパンは、販売パートナーを活用しながら、自社の人員を製品開発とサポートへ集中させています。低コストで製品を開発・販売する仕組みを先に作っているため、導入しやすい価格と高い利益率を両立できるのです。
自社開発と新卒育成が競争力を支える
ネオジャパンは、主力製品を自社で開発しています。
自社開発の強みは、単に製品を自由に改善できることだけではありません。製品の設計思想、過去の改修経緯、顧客から寄せられた要望、障害対応の知見などを社内に蓄積できます。
特に同社は、エンジニアを新卒で採用し、長期的に育成する方針を重視しています。
一般的にIT業界では、経験者の中途採用競争が激しく、採用費や人件費が上昇しやすい傾向があります。ネオジャパンは、新卒社員を社内で育成し、長期間にわたって製品開発に携わらせることで、中途採用への依存と採用コストを抑えています。
同時に、長く同じ製品へ関わる技術者が増えるため、製品固有の知識も社内に残りやすくなります。顧客の要望を製品へ反映しながら、長期的な保守と改善を進められることが、自社開発体制の強みです。
この体制は、製品品質だけでなく、価格競争力と利益率にも影響しています。

はじめに
社内のお知らせがメールに埋もれる。申請書が誰のところで止まっているのか分からない。Excelで管理する台帳が増え、どれが最新版なのか判断できない。
こうした問題は、多くの企業や自治体で日常的に起きています。
企業のDXというと、生成AIやデータ分析、クラウドサービスなどが注目されます。しかし、その前提となる社内情報や業務データが、紙、メール、Excel、個人のパソコンに分散していては、十分に活用できません。
まず必要なのは、情報を一つの場所に集め、業務の流れを整理し、組織全体で利用できる状態をつくることです。
その基盤を提供しているのが、ネオジャパンです。
同社は、国産グループウェア「desknet’s NEO」を中心に、ノーコード業務アプリ作成ツール「AppSuite」、ビジネスチャット「ChatLuck」などを提供しています。累計販売実績は540万ユーザーを超え、規模や業種を問わず、民間企業だけでなく地方自治体や官公庁などにも広く導入されています。
ネオジャパンのビジネスモデルは、日本企業の業務に合ったソフトウェアを自社開発し、直販と販売パートナーを通じて提供するものです。導入後はクラウド利用料や保守・サポート料を継続的に受け取り、さらにAppSuiteなどを追加提供することで、既存顧客の利用範囲と顧客単価を広げていきます。
本記事では、ネオジャパンが誰に、どのような価値を、どのような方法で提供し、なぜ高い利益率を実現できるのかを整理します。
なお、同社の連結事業は、ソフトウエア事業、システム開発サービス事業、海外事業で構成されていますが、本記事では収益の中核であるソフトウエア事業を中心に取り上げます。