決算概要

業績ハイライト

売上、各利益共に前年同期比で大幅な増収増益となり、第1四半期における過去最高売上・利益を達成。

項目

2027/2期1Q

2026/2期1Q

前年同期比

売上高

17,034百万円

13,839百万円

+23.1%

営業利益

2,204百万円

1,452百万円

+51.7%

経常利益

2,192百万円

1,438百万円

+52.4%

親会社株主帰属純利益

1,486百万円

945百万円

+57.2%

連結売上高の推移

四半期ごとの売上高推移は、四半期ごとに多少の偏重はあるものの、順調な業績拡大が確認できる。

連結営業利益の推移


四半期ごとの営業利益推移についても売上高同様に、拡大傾向にあることが確認できる。

通期業績に対する進捗率


期初の通期業績計画に対する進捗率は売上高26%、営業利益42%、親会社株主に帰属する当期純利益44%となり、特に各利益は第1四半期時点で40%を超える進捗となった。

通期計画の上方修正

これを踏まえ、同社は通期業績予想の上方修正を公表。

項目

(A)期初
業績計画

(B)修正後
業績計画

増減額(B)-(A)

増加率(B)/(A)

売上高

65,500百万円

66,000百万円

+ 500百万円

+0.8%

営業利益

5,250百万円

5,450百万円

+200百万円

+3.8%

経常利益

5,150百万円

5,350百万円

+200百万円

+3.9%

親会社株主帰属純利益

3,350百万円

3,450百万円

+100百万円

+3.0%

株主還元

さらに利益計画が期初計画を上回る見込みとなったことを踏まえ、従来計画の50円から51円へ増配を公表。
同社は、連結配当性向30%水準を目安とした株主還元方針を掲げている。実際、配当金は中長期で増加傾向にある。

決算期

24/2月期

25/2月期

26/2月期

27/2月期

一株あたり配当

41円

41円

50円

51円


業績好調の要因

同社の事業は8カテゴリに分類される。
好決算の要因として、M&Aにより「インキュベーション&デベロップメント」に加わった「高橋書店」の寄与、および既存カテゴリ「メディカル&ヘルスケア」、「ゲーム&ライツマネジメント」の伸長が挙げられる。
なお、高橋書店を除いた場合にも、連結業績は前年同期比増収増益となる。


当第1四半期の決算は、M&Aの効果と併せて、「複数の主力カテゴリが強く伸び、全体の増益を牽引した」と整理できる。

高橋書店の業績寄与を主因とする「インキュベーション&デベロップメント」の伸長

2026年2月期にM&Aにより連結に加わった高橋書店が、売上高約1,675百万円、営業利益約293百万円、連結業績に寄与。
同社の売上構成は日記・手帳・カレンダーが8割、出版が2割であり、季節性から業績も偏重傾向にあり、四半期ごとの推移は慎重に確認したい。

なお、本M&Aに伴い、同社は無形資産として「のれん」および「商標権」を貸借対照表に計上。
内訳は296百万円/5年償却、商標権は264百万円/20年償却となっており、5年の間は1年あたりの償却は60百万円強となるため、償却額を大きく上回っていることが確認できる。

「メディカル&ヘルスケア」の伸長


医師に特化した人材紹介を行う同カテゴリはサービスの認知拡大により、案件が増加したことなどを背景に前年同期比で大幅な増収となった。
売上高は2,243百万円、前年同期比15.7%増、営業利益は1,038百万円、前年同期比28.9%増となり、営業利益ベースでは全カテゴリの中でも特に大きな存在感を示している。
なお、医師の人事移動が4月、7月に集中することから当カテゴリの売上計上は第1四半期、第2四半期に偏重する傾向にある。

「ゲーム&ライツマネジメント」の伸長


ゲーム開発人材の派遣および、受託開発を行う同カテゴリは旺盛な需要を背景に移転・増床に伴う費用増を吸収してなお、前年同期比で大幅な増収増益となった。
売上高は4,947百万円、前年同期比21.8%増、営業利益は483百万円、前年同期比25.4%増となった。
約1,600名のゲームクリエイターが稼働し、スタジオ機能の移転・拡張に伴い、海外からの開発案件受託の増加やクレイテックワークスの黒字転換などが寄与している。

バリュエーション水準

PERを筆頭とする同社のバリュエーション水準は極めて低いと言っても過言ではない。
問題は「業績が悪いこと」ではない。むしろ、利益ベースの成長は続いている。問題は、その利益成長が株価に十分反映されていないことである。
決算説明会資料でも、上場以来業績は着実に成長しているにもかかわらず、近年株価は業績と反比例の状況にあると説明されている。

市場の懸念事項としては、M&A依存、利益成長の継続、新規事業の収益化、プロフェッショナル人材へのAIの影響が挙げられる。
今回の第1四半期決算では、こうした懸念に対して一定の回答を示した決算だったといえる。
高橋書店グループを除いた既存事業でも二桁成長となり、6つのカテゴリで増収増益を達成、新規事業も着実に利益改善している。

PER8倍台、EV/営業利益4倍台、市場評価は抑制的


2026年7月(第1四半期の決算発表前)9日時点の同社の株価1,334円を前提とすると、時価総額は約30,000百万円となる。
一方、2027年2月期の修正後純利益予想は3,450百万円である。これを前提にすると、予想PERは約8.6倍となる。

さらに、第1四半期末時点で現預金約17,900百万円、借入金11,520百万円を保有しており、差し引きネットキャッシュは約6,380百万円となる。
このネットキャッシュを時価総額から控除した、実質的な事業価値であるEVは約23,600百万円となる。
修正後の通期営業利益予想5,450百万円に対して、EV/営業利益倍率は約4.2倍にとどまる。

即ち、同社の事業価値は1年間に同社が事業で稼ぎ出す利益の4.2倍水準しか評価を得ておらず、仮に業績の拡大がなく現在の水準で推移した場合、わずか4年で回収できる計算となる。
この水準は、安定的に営業利益5,000百万円超を稼ぐ企業としては、かなり保守的な市場評価といえる。

同社は単一事業ではなく、ゲーム、映像、医療、会計・法曹、AI/DX、ライツマネジメント、事業承継など、複数の専門領域にまたがる事業ポートフォリオを持つ。
一般に、多角化企業は市場からコングロマリット・ディスカウントを受けやすい。同社についても、事業領域が広く、収益構造が一見分かりにくいことが、市場評価を抑えている可能性がある。
しかし、今回の第1四半期では、複数カテゴリが同時に伸長し、事業ポートフォリオの厚みが利益成長につながっていることが確認された。
市場が懸念していた「M&A依存」「新規事業の収益化」「利益成長の継続」に対して、少なくとも1Q時点では一定の実績を示したといえる。

評価見直しのカギは「連峰経営」の再現性

同社は成長戦略として「連峰経営」を掲げている。これは、プロフェッショナル人材、顧客基盤、グループ会社、経営人材、事業承継・M&Aなどを組み合わせ、複数の専門領域で収益機会を創出していく考え方である。
決算説明会資料では、同社グループの営業資産として、5.7万社のクライアント、46.3万人のプロフェッショナルネットワーク、35社のグループ会社が示されている。

この戦略のポイントは、単に人材を紹介・派遣する会社ではなく、プロフェッショナルの能力を掛け合わせて新たな事業を生み出すプロデュース企業へ進化しようとしている点にある。
今回の第1四半期決算では、ゲーム分野の収益改善、医師紹介事業の好調、高橋書店グループの寄与、投資事業の収益改善などが同時に表れた。
これは、同社が掲げる「連峰経営」が、決算数値として一定程度可視化された四半期だったと見ることができる。

もちろん、懸念は残る。
高橋書店グループやメディカル&ヘルスケアの季節性、M&A後のPMI、新規事業の継続的な収益化、AIによるプロフェッショナル人材需要への影響など、投資家が注視すべき論点は多い。
しかし、現時点のバリュエーションは、こうしたリスクを相当程度織り込んだ水準に見える。
PER8倍台、EV/営業利益4倍台、配当利回り3%台後半という水準を踏まえると、今後も利益成長を継続できるのであれば、市場評価の見直し余地は十分にあるだろう。
C&R社の今回の1Q決算は、単なる好決算ではなく、業績成長と市場評価のギャップを改めて浮き彫りにした決算だった。