創業メンバーの多くが今も残る会社
田代
御社は「社員が辞めない会社」としても知られていますが、その背景にはどんな考え方があるのでしょうか。
中西氏
「社員の給料を増やしてあげたい」という考えが根本にあります。
ただ、そのためにはその社員が成長しないといけない。成長していないのに給料が上がるのはおかしいですからね。
だから、人事制度の中でも「成長と給料の最大限の成果を出していこう」と言い続けています。
田代
ただ待遇を引き上げるだけではなく、あくまで成長とセットなんですね。
中西氏
そうですね。
営業なら営業、営業以外ならその職種ごとのスキルがあります。
そのスキルを身につけて成長していく過程で、人間性も磨かれるし、周りの人の役にも立てるようになる。
そういう人間になれば、人として両面で幸せになれるんじゃないかと。こういった考え方が根底にありますね。
田代
創業時からのメンバーも残っていらっしゃるようですね。
中西氏
そうなんですよ。
創業時の役員は今もいますので、もう26年目になりますね。
在籍15年以上の社員も15人くらいいます。嬉しいですよね。
田代
上場のタイミングなど会社の節目ごとに、人が入れ替わるケースをよく聞きます。
中西氏
そうですよね。
幸い当社は「社員が辞めない会社」を維持することができました。
もちろん給与や福利厚生も大事ですが、それだけではないと考えています。
私たちはよく、会社を「ドラクエみたいなもの」と話します。

田代
ドラクエって、あのゲームのドラゴンクエストですか。
中西氏
そうです(笑)。
例えば、勇者や魔法使いなど役割が大きく違うじゃないですか。営業もいれば経理や法務など内勤もいます。役割の違うメンバーが、一つのパーティーを組んで冒険をしている。私は、会社ってそういうものだと思っているんです。
ですから、次のゴールがプライム市場だった場合、「そのゴールを達成するには、どれくらいレベルアップが必要なのか」をパーティーで考える。真剣なゲームなんですよ。
田代
その表現、すごく中西さんらしいですね。
中西氏
そうですよね。私もそう思っています(笑)。
当然ながら、長い社会人人生はいい時があれば、しんどい時もある。
ただ、そのしんどい時に逃げる人と、「じゃあ、どうする」と腹をくくる人に分けた時、当社は、腹をくくって踏ん張った人たちが圧倒的に多い会社なんですよね。
だから年々強くなれるのです。
「居たいから居る会社」にしたい
田代
外から見ると「辞めにくい空気があるのでは?」と思う人がいるかもしれません。
中西氏
実はその観点を非常に気を付けています。
私は「辞めたいけれども、辞めにくい」というのは嫌なんですよ。無理して会社に残るものではないと思っています。
ですので、社員の顔色を見て「なんか無理してないか」といったコミュニケーションは、日ごろから積極的に取っています。
田代
そこはかなり率直に向き合われるんですね。
中西氏
そうですね。
実際、話を聞くと「会社は好きなんです。でも別の事情があって」ということもあります。事情がわかれば、対応の仕方っていくらでもありますからね。
苦しんでいる社員がいるのに、気付かなかったということだけは絶対避けたい、と常々思っています。
若い社員との会話は気付かされることも多くて楽しいですしね。

田代
実は、本日の取材の会場設営の際、若手の方にお手伝いしてもらったのですが、皆さん、礼儀正しくハキハキしていました。
中西氏
そうでしたか。それは嬉しいですね。彼らはまだ入社して数週間です。
田代
それは正直、驚きました。
やはり社員教育に力を入れているのですか。
中西氏
日常的な挨拶も含めて、研修ではしっかりと教えています。
私自身、「社内でできないことは社外でできるわけがない」と強く思っていますので。
だから、まず社内で挨拶など基本姿勢を徹底する。これは、非常に大事なことだと思っています。
AIを使いこなせるかどうかで、1年後の差はとんでもなく広がる
田代
今、会社にとっての脅威やチャンスとして感じていることはありますか。
中西氏
やはりAIですね。
脅威でもあり、チャンスでもあるんでしょうが、今は「使いこなせなかったときの怖さ」を強く感じています。
我々は、まだまだ十分に使いこなせているわけではないので。
このままAI対応をせず1年経ったら、使いこなしている会社との差が大きくなるでしょうね。
田代
かなり危機感を持っていらっしゃるのですね。
中西氏
はい。
例えば営業って、「人対人だからなくならない」って言われていますが、本当にそうかなと思っていて。
例えば、AIを使っている営業と、使っていない営業では、提案の質もスピードも全然変わってくると理解しています。
しかも、資料や動画だけで商品・サービスの価値が十分伝わるようになれば、営業のあり方そのものが変わるかもしれない。
田代
営業ですら、例外ではないかもしれない。
中西氏
そうだと思っています。
だから、変わらざるをえないと思っています。
しかも、AIだけじゃなくてロボットも絡んでくる。今まで人が行う前提だった仕事が、どんどんAIやロボットに置き換わっていくでしょうね。
その時期が、5年後なのか10年後なのかはわからない。でも、相当大きな変化が来るだろうなとは思っています。
田代
その中で、経営者は何を磨くべきだと考えていますか。
中西氏
付加価値ですね。
AIが広がれば広がるほど、いいものはより売れるようになるでしょう。逆に言えば、価値がなければ価格は取れない。
だから、最後は商品力を磨くこと。粗利を生み出す付加価値をどう高めるかだと思っています。
